ワクチン・フィラリア予防・ノミダニ予防と駆除は猫には必要なく、動物病院の金儲けのためにやっているという説が一部で出ているようです。
確かに動物病院は自由診療ですから価格設定は病院によりまちまちですし、高めに設定する病院さんもあるためこのような説が出てきたのだと思います。
しかし結論から言うともちろん答えは「NO」です。
このようなデマを間に受けてフィラリア症の予防やノミダニの駆除、ワクチンの接種等を一切しなければ、猫ちゃんの寿命はぐっと短くなってしまいますし余計な疾患リスクをおうこととなります。
事実、都内の動物病院で勤務していた際にもフィラリア感染症例を何件か見てきましたし、ノミダニをつけて病院にくる猫は少なくありませんでした。
この記事では猫のノミダニやフィラリア症を予防しなかった場合どうなるか?どのような予防の仕方が正しいのお伝えします。
フィラリアの予防方法と予防しないリスク
蚊を媒体とし感染するフィラリア症は田舎だけではなく都市部でも感染するリスクがあります。
お住いの地域によりますがおおよそ5~12月の8か月間、予防薬を月一回投薬するのが感染を予防する方法です。
では予防せず、感染してから治療する薬はないのでしょうか?
以前は「イミトサイド」というお薬がありましたが、現在は日本販売停止となり使用されていません。その為、感染した場合の治療は麻酔をかけてフィラリアを心臓から降り出す手術が必要になりますが、犬よりも猫のフィラリア症の手術は難しく、フィラリア感染が発覚してもなす術がない場合も少なくありません。そのため予防薬による感染予防を怠らない事が重要となります。
なおフィラリア予防薬には命に関わる重大な副反応や死亡症例があるという説もありますが、少なくても私は何百という患者様と出会った中で、重篤な副作用や死亡症例は見たことも聞いた事もありません。
ただし錠剤やおやつのタイプの予防薬は体に合わず、吐き戻してしまう猫ちゃんは少数ながら確かにいます。
そういった場合にはスポットタイプ(背中に薬液を垂らすタイプ)のお薬に切り替えることで問題が解消することがほとんどです。
そのようなときはかかりつけの動物病院にご相談されてください。
ノミダニの予防方法と薬液の副作用
どこにでもいるノミやダニですが、完全室内飼いの猫ちゃんでも予防は必要なのでしょうか?
これは微妙なところですが、個人的にはノミダニの活動が活発化する5~10月ごろは予防して頂くほうが安心かと思います。
なぜなら、特にマダニの駆除と予防に関しては、飼い主を感染症から守るという意味もあるからです。
マダニはSFTSウイルスを保有している個体がおり、猫や人間がウイルスを保有したマダニに噛まれた場合「重症熱性血小板減少症候群」を発症するリスクがあります。
SFTSを発症した場合の致死率は10〜30%であり、ワクチンも治療薬もない事から非常に高い確率で死に至る危険な感染症です。
月1000円程度の予防薬で命を危険に晒すリスクがなくなるのであれば、ノミダニ予防をしておく方が合理的です。
室内外でも人間についたノミダニが感染してしまう事もありますし、カーペットに隠れていたノミダニが付着することもあります。
事実ほとんど外に出ないにも関わらずダニがついている!とかけこんでくる飼い主様は意外と多くいらっしゃいますし、飼い主様も気が付いておらず病院で何かしらの処置を行う際にスタッフがノミ糞の付着に気が付いて発覚するケースも経験しています。
マダニ以外の寄生虫は命に関わることはないため、ついてしまってからの治療でも遅くはありませんが、マダニ予防していれば同時にノミにも効果がある商品がほとんどです。中にはノミアレルギーを発症してしまう子や痒みが大きなストレスになってしまう場合もあるためまとめて事前に予防する事が理想的です。
ではノミやダニを駆虫、予防するような薬剤を使用して、猫の体に問題はないのでしょうか?
実は副作用報告がある薬剤もあります。
主に錠剤タイプの経口予防薬は嘔吐症状が出る場合がありますので個人的には猫にはスポットタイプがおすすめです。
Amazonや動物用医薬品を取り扱える一部の通販サイトでは動物病院で販売されているのと同じ「フロントラインプラス」が購入できます。
フロントラインプラスはノミを24時間以内に、マダニとハジラミを48時間以内に駆除する事ができる便利な商品です。
なおホームセンターやペットショップで販売されている動物用医薬品ではない市販のノミダニ駆除薬は効果が期待できません。
動物病院か、動物用医薬品を取り扱え通販サイトにて入手するようにしてください。
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